自立支援介護11ヵ条
- 自立支援介護第11条
- 老いに感謝してマイペースに暮らす
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E様はご夫婦でデイサービスをご利用されている頑張り屋さんです。
しかし、持病を抱えておられる上に認知症のご主人のお世話で、疲労困憊でくたくた状態でした。
そんなE様を見るに見かねた地域包括の方が静養目的で、デイサービスを勧められたのです。老々介護で疲れ気味のE様は「デイサービスを利用しているときだけは、友達とゆったりお話したい」と希望されました。ところが実際にお2人でデイサービスにこられると、ご自宅で過ごされているときと同じで、ご主人のことが気になり、つい世話をやいてしまうのです。しかし、それでは老々介護の疲れが癒されることはないので、ご主人の目をはばかるようにソファーで横になっておられました。
E様は、このままでは何も変わらないし、介護疲れもとれないし、ご主人との生活も好転しない、と思われたのでしょう。
ある日一念発起、職員に「他の方々の役に立つこともしたい」とおっしゃいました。それは、デイサービスセンターで入浴拒否を繰り返されるご主人のことを、デイの職員にまかせると決断されたからだと思います。それが転機となり、今では食事の下膳や、おやつの手伝いをしてくださり、「ボランティアができて嬉しい」と見違えるように生きいきとされています。E様は、ボランティアをすることにより、自分自身を取り戻されたのでしょう。
結果、そのことがご主人に対する優しさのエネルギーになったのか、夫のE様の様子が少しずつ穏やかになり、にこやかに過ごされることが増え、混乱されるご様子が減ってきました。奥様の積極的な「社会参加」がパワーの源になったのか、E様ご夫婦に昔のような“笑顔”ある生活が戻ったのです。「老い」と「老々介護」をご自分で消化することができたE様は、今、素敵に輝いておられます。ご自分の役割を果たすE様の爽やかな姿に、私たち職員はただただ感動です。
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