自立支援介護11ヵ条

- 自立支援介護第6条
- イスに座るときは足を床につける

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笑顔の素敵なB様は、立位が不安定なため、イスや車イスからのずり落ちや、転倒のよくある方でした。認知症のあるB様の転倒対策に行き詰まった私たちは下山先生(生活とリハビリ研究所研究員)のアドバイスを受け、イスをB様の下腿長(ひざ下の長さ)に合わせてパイプカッターで35センチに切りました。一般のイスは40センチ位ですので5センチも切ったことになります。
その日からB様は、同様に低くしたテーブルに手をつき、すくっと立っては座り、立っては座り、を繰り返されるようになりました。ずっと座っていると、お尻が痛くなるので立たれるのでしょうが、両足を踏ん張り、バランスを保って立つ感覚を思い出したB様は、立つことを楽しんでおられるようにも見えました。そしてその結果、転倒のリスクも減りました。
両足で踏ん張り前にかがむと、足は身体を支えようと筋肉を収縮させ、その信号が脳幹を通って脳を覚醒させます。そうすると、運動神経、自律神経も活発になります。覚醒したB様は、胃ろう造設をした方ですが、プリンをご自分で召し上がり、隣の方のおかずをとって食べるほど元気になられ、その年の盆踊り大会には、B様が大好きな職員たちの手引き歩行で、やぐらの周りを笑顔で踊って(歩いて)おられました。
このB様の成功体験を期に、職員の認識が大きく変わりました。
現在では、34センチ、36センチ、38センチ、40センチのイスを用いて、それぞれの方の下腿長に合わせたイスに座っていただくようにしています。
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