自立支援介護11ヵ条
- 自立支援介護第7条
- トイレでは床に足をつけて座る
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「トイレに座れない・きばれない・拭けない」は果たして高齢による機能低下なのでしょうか?「トイレで用をたせなくなったから」という理由でオムツを当て、「オムツになったから」という理由で寝たきりにさせてしまっていないでしょうか?
現在、高齢者と呼ばれる方々は、「座って用を足す」ことに慣れている世代ではありません。輪をかけて、現代人の足の長さに合わせた洋式トイレに座らせてしまうのです。ごく稀に、身長180cmを超える大柄な方もいらっしゃいますが、背が縮んだり、腰が曲がったりして、身長150cmに満たない小柄な方が圧倒的に多いのです。「足が床につかないから座れない」「足が床につかないからきばれない」「足が床につかないから拭けない」のです。椅子に座るときと同様に、トイレでも床に足をつけることから排泄はスタートするのです。個人に合わせた足台(2cm~5cm)を用意し、かかとまでしっかりと踏ん張っていただき、「トイレは気持ちのいい場所であって、恐怖の場所ではない」と思ってもらえるように取り組んでいます。トイレで用を足せてもその前後(衣類の上げ下げ)に恐怖が伴ってしまえば意味がありません。千里山西デイサービスセンターでは、ファンレストテーブル(トイレ・脱衣所で手すり代わりに手をつける移乗台)を使用し、安定感のある立位を保っていただいています。「自分の力で立てた!」という達成感が、より立位を持続させる相乗効果になっていると思います。
病気をされてから7年間もオムツを当てておられたC様は、ファンレストテーブルがきっかけでトイレの排泄、オムツはずしを始めることができました。その日を境に“笑顔”も“言葉”も増え、行動範囲も広がりました。オムツが外れたこと以上に、「病気はしたけど、尿意、便意は失っていなかった」ということに気付いた自信の表れなのでしょう。C様は決して特別なことをやり遂げたわけではありません。普通のことを取り戻しただけなのです。これからもトイレから生まれる更なる“笑顔”を探し続けたいと思います。
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